クライスラー300Cの魅力2

もちろん、外見の個性的なルックスやクライスラーブランドのイメージだけで、クライスラー300Cが成功したわけではない。300Cの大ヒットの裏側には、まだいくつかの要素がある。
その一つがエンジンとエンジンまわりのメカニズムだ。300Cに搭載されているのは5.7リットルV8オーバーヘッドバルブ方式のヘミエンジン。それが1955年に初めて搭載されたのが、この車の名前の由来ともなっているクライスラーC-300。大型の車体をスムーズに動かす馬力を生み出し、様々なモータースポーツの現場で実績をあげたこのエンジンは、車好きにとっては、ひとつのクライスラーの象徴であり、古き良き時代の自動車の力の象徴である。さらにオマージュの対象であるシグネチャーモデルが現役だった当時に主流だったフロントエンジン・リア方式を復活させたこだわりも、300C大きな魅力となっている。
つまり、外観だけではなく、走りを生み出すエンジンシステムという「中身」もまた、当時のものというのが大きな魅力なのだ。
地球温暖化、資源の枯渇が懸念されエコカーという言葉が普及する現代において、このように馬力重視で燃費効率が悪いクルマは、時代に逆行していると言われるようなものかもしれない。しかし、不思議なことに、そう言われたとしても、いや、それがそう言われれば言われるほど、心をくすぐられる人がいる。それこそが今の時代につくられた新しい車にはない、自動車の進化の歴史の中で失われてしまった価値だからだ。