クライスラーの歴史1

クライスラー社は、1925年にウォルター・クライスラーが創業しアメリカのミシガン州に本社を置く自動車ブランド。1930年代・40年代には、当時の先進的な技術を大衆車に積極的に取り入れ海外への輸出を伸ばし、また、第2次世界大戦や朝鮮戦争での軍需部門の追い風も手伝って、GM、フォードと並びアメリカのビッグスリーと呼ばれるまでに成長した。

1950年代には、ヘミエンジンと呼ばれる高性能エンジンを搭載し、アメリカ国内のモータースポーツに積極的に参加。高性能な車を発売するクライスラーブランドというイメージを獲得することに成功した。また、特徴的なのびやかな流線形の大胆なデザインを導入し、それまでデザインのトレンドを主導してきたGMに影響を与えるほどの存在感を持つようになった。
当時のアメリカは経済がたいへんに好調であったこと、ヨーロッパや日本の自動車に台頭前であったこと、クライスラーが得意な高馬力エンジンを積んだ大型車が人気を博したことを背景に、クライスラーとしても大きな飛躍を遂げた時代であった。

この自動車ブランドとして絶頂期に発売されたのが、前述のシグネチャーシリーズである。シリーズとしての確固たる強いポリシーや継続性をもって企画されたものではなかったと言われているが、当時の世界最先端の自動車を体現する車として多くの人の憧れの的であった。シリーズは1955年のC-300に始まり、その後、300B、300Cとモデルチェンジを重ねながら、1965年の300Lまで11年間にわたって作り続けられた。

1960年代は、クライスラーの拡張路線が取られた時期である。イギリスやフランスの自動車関連企業を買収し、クライスラー・ヨーロッパとしてフルラインナップを備えて展開を開始した。しかし、これらの拡大路線が社内ブランドの乱立、販路の混乱、品質の低下などを招き、その後の経営の苦境の原因ともなっていく。